店主と歩む「17年目の私」。一過性のトレンドを卒業するための『ショップとの付き合い方』

移り変わりの激しいファストファッションの波から距離を置き、自分自身の価値観で服を選ぶ「サステナブル・ファッション」への関心が高まっています。単に環境に配慮した素材を選ぶだけでなく、一着の服、そして一軒のショップとどのように長い年月をかけて関係を築いていくか。それは、自分らしい生き方を形作る大切な要素となります。今回は、地域に根差したセレクトショップとの交流を通じて、3年、5年、10年と着続けられるワードローブを育てるための「ショップとの付き合い方」を考察します。

信頼を重ねる「17年」という歳月。セレクトショップは人生の伴走者

服選びにおいて、信頼できる「店主」の存在は、単なる販売員以上の役割を果たします。例えば、栃木県栃木市にある「ヒト匙+」では、ブランド「nutte」と17年にも及ぶ長い付き合いを続けています。17年という歳月は、一人の子供が成人近くまで成長するほどの長い時間です。それだけの期間、同じブランドやショップと向き合い続けることは、流行に左右されない「自分の核」を確認する作業でもあります。

長年通い続けるショップの店主は、顧客の好みの変化や、ライフスタイルの変遷を誰よりも理解しています。「数年前に購入したあのパンツには、今年のこのシャツが合いますよ」といった提案は、過去のワードローブを熟知しているからこそ成し得ることです。また、ショップで開催される個展などは、同じ感性を持つ顧客同士が繋がる場にもなります。初対面であっても、同じブランドを愛用しているという共通点が会話を弾ませ、コミュニティとしての温かさを生み出します。このように、ショップを「服を買う場所」から「感性を共有し、人生を共に歩む場所」へとアップデートすることが、豊かなファッションライフへの第一歩となります。

世代を超えて響き合う感性。二回り年下のスタッフから学ぶ「品のあるチャーミング」

年齢を重ねるにつれ、ファッションに対して「年相応」という言葉で自分を縛ってしまうことがあります。しかし、長く愛されるショップには、世代を超えた感性の交換が存在します。静岡県浜松市のセレクトショップ「ihme tyttö(イヒメテュット)」では、店主と二回りほど年齢の離れた20代のスタッフが共に店を盛り上げています。親子ほど年の離れた二人が、同じ服を見て「素敵だ」と感じる。この世代間のギャップこそが、着こなしに新しい風を吹き込みます。

若い世代のスタッフが持つ瑞々しい感性と、店主が培ってきた経験に基づく審美眼。その二つが融合することで、年齢に縛られない「品のあるチャーミング」なスタイルが完成します。自分より若い世代が提案する意外な色の組み合わせや、小物の使い方は、凝り固まったファッション観を解きほぐしてくれるでしょう。逆に、若い世代にとっては、上質な素材を長く大切に着る大人の姿が、サステナブルな美意識の指標となります。年齢という枠を超え、互いの良さを認め合いながら服を楽しむ姿勢は、着る人の表情をより魅力的に輝かせます。ショップスタッフとの対話を通じて、自分一人では辿り着けなかった「新しい自分」に出会えるのも、対面販売を大切にするセレクトショップならではの醍醐味です。

哲学を纏う。自分を象徴する「核」となるブランドを一つ持つ

サステナブルなワードローブを構築する近道は、自分の哲学と深く共鳴するブランドを一つ見つけることです。例えば「evam eva」のように、素材の良さを引き出し、時代に左右されない静かな佇まいを持つブランドは、着る人の日常に寄り添い、心を整えてくれる力があります。また、「ihme tyttö」の店名の由来にもなった「minä perhonen」のように、物語性のあるテキスタイルや、時を経ても色褪せない独創的な世界観を持つブランドも、長く愛用できるパートナーとなります。

特に、minä perhonenのデニムシリーズ「always」のように、ブランドが定番として作り続けているアイテムは、まさに「いつも変わらず寄り添ってくれる相棒」です。こうした「核」となるブランドを持つことは、無駄な買い物を減らすことにも繋がります。新しい服を買い足す際も、「自分の核となるブランドと調和するかどうか」という明確な基準ができるため、一過性のトレンドに惑わされることがなくなります。ブランドの背景にある思想や、ものづくりの姿勢に共感し、それを身に纏うこと。それは、自分の生き方を表明することと同義です。一つ、また一つと、哲学のある服を揃えていく過程は、自分自身の内面を磨いていく作業とも重なります。

3年日記のように綴る「ワードローブの育成」と服の記憶

服を「消費するもの」ではなく「育てるもの」と捉え直すと、クローゼットの景色は一変します。3年日記を綴るように、一着の服との思い出を積み重ねていく。そんな「ワードローブの育成」こそが、サステナブル・ファッションの本質です。例えば、リネンやコットンのパンツを、夏にはサンダル、秋にはブーツと合わせながら、季節の移ろいと共に着倒していく。数年経ち、生地が柔らかく肌に馴染んできた頃、その服には単なる布以上の価値が宿ります。

「あの旅行の時に着ていた服」「大切な人と会った時に選んだ一着」。服に刻まれた記憶は、時の経過とともに愛着へと変わります。3年、5年と着続けるためには、適切なケアも欠かせません。信頼できるショップであれば、素材に合わせたお手入れ方法や、修理の相談にも乗ってくれるはずです。また、良質な素材で作られた服は、古びるのではなく「味わい」が増していきます。新品の時よりも、数年着込んだ今の方が自分に似合っている。そう感じられるようになった時、その服は真の意味で自分のものになったと言えるでしょう。トレンドを追いかけて次々と買い替えるのではなく、手元にある服を慈しみ、時間をかけて自分の形にしていく。そのプロセスそのものが、暮らしに奥行きと豊かさを与えてくれます。

まとめ

一過性のトレンドを卒業し、サステナブルなファッションを楽しむ秘訣は、ショップや服と「長い時間」を共有することにあります。17年という歳月を共にする店主との信頼関係、世代を超えた感性の交換、そして哲学を共有できるブランドとの出会い。それらはすべて、自分らしいワードローブを育てるための大切な糧となります。3年日記を綴るように、一着一着に思い出を刻みながら、品のあるチャーミングな大人を目指したいものです。服を選ぶことは、明日をどう生きるかを選ぶこと。お気に入りのショップと共に、自分だけの物語を紡いでみてはいかがでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました