デニムを育てる、刺し子で繕う。10年後も愛せる「自分だけの一着」の作り方

流行を追いかけるのではなく、一着の服と長く向き合い、時間をかけて自分だけの「名品」へと育てていく。そんなサステナブルな服との付き合い方が注目されています。今回は、高品質なデニムのエイジングと伝統的な刺し子によるリペアを組み合わせ、愛着を循環させる暮らしの知恵を探ります。

10年後を見据えたデニム選び。minä perhonen「always」の魅力

サステナブルなファッションの第一歩は、数年で着古してしまうものではなく、10年後もクローゼットの主役であり続ける一着を選ぶことから始まります。その代表格といえるのが、minä perhonen(ミナ ペルホネン)のデニムシリーズ「always(オールウェイズ)」です。その名の通り、常に日常に寄り添うことをコンセプトに作られたこのデニムは、履き続けることで完成していく物語を持っています。

一般的なデニムは最初は硬く、馴染むまでに時間がかかるものが多いですが、alwaysシリーズはリネン糸を織り込むことで、最初から驚くほど柔らかく軽やかな履き心地を実現しています。ディテールにも細やかなこだわりが宿っており、オリジナルのチョウチョが刻印されたボタンや、裾の赤ミミ、そしてウエストの後ろ側やポケットの内側に施された「mermaid(マーメイド)」の刺繍など、履くたびに心が浮き立つような仕掛けが随所に散りばめられています。こうした「自分にしかわからない喜び」があるからこそ、飽きることなく長く愛用できるのです。

経年変化を「物語」に変える。自分だけのエイジングを楽しむ

デニムを育てる醍醐味は、何といっても経年変化(エイジング)にあります。特にminä perhonenのデニムは、履き込むことで表面に独特の風合いが現れます。特筆すべきは、内側に施された「mermaid」の鱗のような刺繍です。長年履き続けることで、その刺繍の形が「アタリ」として表面に浮き上がってきます。これは、履く人の動きや体型、過ごしてきた時間がそのままデザインとして刻まれる、世界に一着だけの証です。

定番の「roll up denim(ロールアップデニム)」は、2008年の登場以来愛され続けているスタンダードな一着です。ふわりと丸みを帯びたシルエットは、体型を選ばず、世代を超えて履きこなすことができます。深い色合いの「indigo」を自分色に色落ちさせていく楽しみもあれば、あらかじめ長年愛用したような加工が施された「blue」を選び、そこからさらに自分に馴染ませていく楽しみもあります。サイズ選びによってもシルエットの印象が大きく変わるため、ジャストサイズで端正に履くか、大きめのサイズでリラックス感を出すか、自分のライフスタイルに最適な一本を見極めることが、長く愛するための秘訣となります。

穴や傷をデザインとして再生する。TERASが提案する刺し子の力

どれほど大切に扱っていても、長く履き続ければ生地が薄くなったり、穴が開いたりすることもあります。しかし、それを「寿命」として諦めるのではなく、新たな命を吹き込む手法が「刺し子」によるアップサイクルです。栃木県嘉右衛門町を拠点とする「TERAS(テラス)」では、伝統的な刺し子の技術を用い、布の傷みを美しいデザインへと昇華させるものづくりを行っています。

刺し子はもともと、布が貴重だった時代に補強や保温のために生まれた生活の知恵でした。TERASが手掛ける刺し子は、その伝統を現代的な感性で捉え直し、一針一針手作業で施されています。デニムに穴が開いた際、あえて異なる色の糸や布を使い、刺し子で補修することで、傷跡は「欠点」から「唯一無二の装飾」へと変わります。使い込まれた布が重なり合う「ボロ」の美学は、海外からも高い評価を受けています。肘や膝といった擦れやすい場所に、あらかじめ刺し子を施して補強しておくことも、一着を長く着続けるための賢い選択です。手仕事の温もりが加わった服は、新品の時以上に深い愛着を感じさせてくれるはずです。

トレンドに流されない「名品」を育てるためのメンテナンス習慣

「自分だけの一着」を10年先まで持たせるためには、日々のメンテナンス習慣が欠かせません。デニムの場合、洗濯の頻度や方法がその後の表情を左右します。生地の油分を落としすぎないよう、裏返してネットに入れ、中性洗剤で優しく洗うのが基本です。また、完全に乾ききる前に形を整えて干すことで、型崩れを防ぐことができます。リネン混のデニムは通気性も良いため、湿気を溜め込まないよう保管場所にも気を配りたいところです。

また、メンテナンスは物理的な手入れだけではありません。「古くなったら買い替える」という消費のサイクルから一歩外れ、「直しながら使い続ける」というマインドセットを持つことが重要です。トレンドは目まぐるしく変わりますが、自分の体に馴染み、修繕の跡さえも愛おしいと感じられる服は、流行に左右されることのない普遍的な価値を持ちます。良い素材を選び、適切に手入れをし、傷んだら刺し子で彩る。この循環こそが、現代における真に豊かなファッションのあり方といえるでしょう。

まとめ

高品質なデニムを選び、時間をかけてエイジングを楽しみ、傷んだら刺し子で繕う。このプロセスを経て育った一着は、もはや単なる衣類ではなく、人生のパートナーのような存在になります。使い捨てない「愛着の循環」を取り入れることで、10年後も誇りを持って着られる、自分だけの名品を育ててみてはいかがでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました